HOソイルとは

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HOソイルとは


砂防事業を推進する中で現地土砂を有効活用することを目的に砂防ソイルセメント工法が監修されました。その砂防ソイルセメント工法を研究する過程で、適切な配合環境において土がセメント水和反応により土粒子レベルで異なる土に改質できることに着目し、そこから砂防ソイルセメント工法を発展させたものがHOソイルです。
この技術は、従来処分対象とされる土砂を異なる性状の新しい材料として生まれ変わらせることができます。また、適切な配合決定や品質管理を行うことで、砂防ソイルセメントで多くの実績のある重力式構造物の材料としての活用を可能とするほか、安定した盛土や構造物材料として利活用ができるようになります。

土の種類によってセメント水和反応に最適な含水比は異なります。
左記の図は、5種類の土にセメントを添加したときの圧縮強度と含水比の関係を表しています。
一般の地盤改良で採用されているソイルセメントとは異なり、土砂の特性に合わせてセメント種類を選別し、水和反応が活性化する適切なセメント量、含水比領域を特定します。

土を土粒子レベルで改質させることにより、圧縮強度を2N/㎟(2,000kN/㎡)を超える建設材料にすることが可能です。この特徴から、水和最適化(Hydration Optimized)ソイルセメントをもとにHOソイルと名付けました。

セメント水和反応を活性化する含水比領域・セメント量領域は土によって大きく異なります。
HOソイルの配合は、その含水比領域・セメント量領域を確認したうえで、要求品質に合わせた配合を設計します。このため,従来砂防ソイルセメントで実施されてきた配合試験方法を発展させ、独自の計画に基づき、効率的な試験を実施します。また、施工を勘案した固化材の分割添加方式や流動化配合など、施工方法や土砂の特性に合わせた最適な配合試験を選択することができます。

 なぜ固まるのか?


骨材とは異なる土をセメント水和反応で土粒子レベルで改質・固化することで強度を発現します。このため、HOソイルの強度は十数年を超えても増加しており、長期的な耐久性は向上するものと考えられます。

配合設計の方法は?


HOソイルは、セメント水和反応を活性化させる配合により土そのものの性状を改質します。よって、その配合設計は従来の地盤改良工とは異なり、以下のパラメータを設定する必要があります。

 
・セメント水和反応が明瞭な単位セメント量領域・含水比領域の特定
 
・要求品質(強度)を満足する配合設計

従来は、これらのパラメータを特定するため、専門的な技術者の判断と比較的大掛かりな配合試験が必要でした。
 

HOソイルでは、これまで二十数年にわたって実施してきた配合試験データを用いたAIシステムにより、配合設計を行います。

HOソイルのAIシステムは、 施工規模など要求される配合の精度に応じて、 AI入力データ用のサンプル供試体「9ケース27本」から「 1ケース3本」の7日強度をシステムに入力し、 従来の配合試験結果を推定します。以下の グラフは実配合試験結果と、AI推定との精度を 決定係数(R²)で表したものですが、 すべてのケースにおいて相関があると言われる0. 5を大幅に上回り、ほぼ0.9以上の精度が得られています。 HOソイルでは、 このAIシステムを施工時の配合設計から品質管理で活用し、 配合設計・品質管理の合理化、試験日数の短縮、コ スト縮減を図っています。
特許第7732116号  特許第7347887号

 品質管理は?


<着工時>
AIによる配合により現地で供試体を作製し、7日強度を測定します。その結果をもとに、試験時の土砂と異なった場合や、品質が確保できない場合は、補正配合を行います。
 
<施工時>
発注者と協議の上、定期的に上記の要領で供試体を作製し、配合の補正を実施します。
500m³毎に配合の補正を実施することが基本となります。
 
<現地施工のコアによる品質確認>
発注者と協議の上、施工後7日を経過した部位でコア抜きにより品質を確認します。コアのΦは100mm以上とします。なお、品質は設計時での指示がない場合現地での強度は1.5N/mm²以上とします。

 対応可能な土砂


全国で1,000件を超える土砂活用の施工に携わってきた実績から、今までは建設資材として活用不可能とされてきた性質の土も含め、様々な土砂をHOソイルの対象土砂として活用することが可能です。国内での実績としては、火山灰や有機性土砂、関東ローム、熊本県の黒ボク、粘性の高い北海道の重粘土を改質してきました。
近年では、問題土壌とされているケニアのブラックコットンソイル(黒綿土)にも着手しています。

※ケニアのブラックコットンソイル(黒綿土)に関する研究についてはブログをご確認ください。

 環境負荷の低減に貢献


土砂を土砂の性状のまま再利用するのではなく、土砂とは異なる性状を持った建設材料に生まれ変わらせることで活用範囲が広がり、残土処理の低減に貢献します。それだけではなく、以下の理由からCO2排出量の削減にも繋がります。
 
1. セメント使用量の低減
配合試験により、それぞれの土砂や活用用途で求められる強度等に合わせて最適なセメント量を選定するため、コンクリートと比較すると大幅にセメント使用量を低減することが可能です。また、低炭素セメントを利用することで更なる削減も期待できます。
 
2. 生コン車等の運行台数の削減
生コンクリートが不要になることにより、生コン車等の運搬車の削減になります。現地発生土砂を現地で活用する場合、発生土砂の搬出も不要になるため更なる削減も期待することができ、騒音・振動抑制にも繋がります。

※現地施工の場合の施工ヤードについてはブログ:ソイルセメントの施工ヤードに必要な広さとは?をご確認ください。